日本列島上空に居座り、各地に大きな被害を与えている梅雨前線。被災地の深刻な被害だけでなく、日常生活にも大雨や日照不足は大きな影響を与えている。野菜など農作物の被害がじわじわと広がり、夏休みに入った海水浴場や観光地も閑散としている。日程が大幅にずれ込んでいる高校野球の大会関係者は「もう限界」と、1日も早い梅雨明けを待ち望んでいる。【反田昌平、岩佐淳士、安高晋】
■野 菜<レタスに深刻な被害>
レタスの出荷が最盛期を迎えるなか、生産量全国1位の長野県では、深刻な被害が出ている。
全国農業協同組合連合会長野県本部によると、今月上旬までは1日14万~15万箱(1箱10キロ)の出荷量と好調だった。しかし大雨の影響で、葉が腐ったり変色する病気が県内全域で広がり、現在は1日7万余箱と半減した。レタスが湿気に弱いためで、同本部の高橋直志・園芸販売課長は「畑はぬかるみになって入ることもできない。このままでは壊滅的な被害を受ける」と深刻な状況を説明する。
全国に180店舗を持つイトーヨーカ堂(東京都千代田区)によると、先週までは野菜の小売価格に影響はなかったという。しかし同社広報担当は「宮崎、熊本、長野の被害が深刻で、今週から小売り価格へも影響が出てくるのでは」とみる。影響はレタスだけでなく、キャベツ、ニンジン、トマトなどにも広がりそうだ。
■レジャー<海水浴場は客足まばら>
神奈川県鎌倉市の海水浴場は6月末に海開きをしたが、客足はまばら。「海の家」50店舗で構成する同市海水浴場運営委員会の小西美恵子委員長は「今のところは全然だめ。梅雨明けを待つしかない」と語る。
千葉県鴨川市にある「鴨川シーワールド」は今月中旬以降、来場者数が伸び悩み、佐藤信也・営業推進支配人は「夏休みが始まりこれからが大事な時期。晴れてほしい」と期待をかける。上野動物園(東京都台東区)の来場者数は、夏休み初めての週末だった22、23両日こそ平年並みだったが、雨だった19日は通常の5分の1以下の592人しかいなかったという。
■高校野球<決勝戦もずれ込み>
第88回全国高校野球選手権大会の代表校を決める各地の地方大会も、雨に泣いている。
日本高校野球連盟によると、東東京、京都、大阪、兵庫の4大会の決勝戦が31日にずれ込んだ。大会の開催要項に「7月末までに必ず代表校が決まるよう日程を組む」とあり、もともと同日に決勝を行う予定だった愛知と合わせ、厳しいスケジュールだ。全国大会の組み合わせ抽選会は8月3日で、「中2日」は確保したいところ。事務局の泉正二郎さん(44)は「各地で2回戦や3回戦が予定されていて試合数の多いここ数日がヤマ。天候が良くなるといいのだが」と心配顔だ。
東東京、西東京大会は24日、小雨の中で4回戦10試合を行っている。「グラウンドはぬかるんでいるが、日程はこれ以上延ばせない」(関係者)からだ。連日午後11時ごろまで、日程変更の連絡や審判の手配に追われており、東京都高野連に40年以上在籍する横山幸子さんは「こんなに雨天中止が続く大会は記憶に無い」と話している。
毎日新聞 2006年7月24日 11時30分 (最終更新時間 7月24日 12時29分)