東北大や京都大などの研究グループは地球から約120億光年(1光年は約9兆4600億キロ)離れた宇宙のかなたに、銀河系の数倍の広がりを持つ33個の巨大ガス天体を米ハワイ島の「すばる望遠鏡」を使って発見した。同時に、そのガス天体や銀河が密集して形成された差し渡し2億光年以上もの超巨大構造も発見。こうした構造はこれまで知られておらず、宇宙の進化史を読み解く重要な成果だという。
発見された巨大ガス天体は、直径10万~40万光年の水素ガスの塊。超新星爆発などでガスが吹き飛ばされたような泡状構造を持つものや、いくつかの銀河が集まっているものもあった。ガスは秒速500キロ以上で動いており、誕生後間もない若い銀河や、ガスが凝集して銀河に成長する直前の“銀河の卵”など、重い銀河の形成初期の解明につながるという。
超巨大構造は、数百~数千個のガス天体や銀河が連なった3本のフィラメント(ひも)が絡み合うような形。「超銀河団」と呼ばれる、数万個の銀河の集合体より大きい。誕生から約20億年後の初期の宇宙でこうした超巨大構造が生まれる確率は、現在の宇宙形成理論では0.1%程度とみられ、東北大の林野友紀助教授(観測天文学)は「さらに観測域を広げれば、理論に変更を迫る成果が得られる可能性がある」と話している。【山田大輔】
毎日新聞 2006年7月27日