【ソウル堀山明子】韓国の情報機関、国家情報院の「過去事件の真相究明委員会」は1日、87年に起きた北朝鮮工作員による大韓航空機爆破事件について、当時の韓国情報当局(国家安全企画部)が関与したり事前に察知したものの放置したといった疑惑には根拠がないとする中間調査結果を発表した。
同事件は発生当時の捜査で、死刑判決後に赦免された金賢姫(キムヒョンヒ)元工作員らが実行したと断定されたが、これを疑う声が消えなかった。しかし同委員会は今年4~5月の調査で、墜落した大韓航空機の胴体と見られる物体をミャンマー沖の海底で新たに発見。事件後に引き上げられた機体の一部を「偽物」だとする主張は意味を失った。
ただし、金元工作員が事件の蒸し返しに反発して同委員会の聴取に応じていないことなどから、調査は継続される。
一方、事件そのものに関連した捏造(ねつぞう)などはなかったものの、87年12月の大統領選挙で当選した盧泰愚(ノテウ)氏が選挙で有利になるよう金元工作員の韓国への移送を急いだ事実が、残された文書で確認された。
毎日新聞 2006年8月1日