自民党の青木幹雄参院議員会長は1日、東京都内の事務所で「再チャレンジ支援議員連盟」会長の山本有二経理局長と協議し、安倍晋三官房長官が新総裁に選出されることを前提に、参院選対策を踏まえた政権構想作成など、安倍氏への要望を伝えた。同議連は安倍氏の事実上の支援グループ。参院の実力者である青木氏の所属する津島派は総裁選への対応を決めていないが、「安倍政権」を念頭に置いた動きだけに注目される。
会談で青木氏は、参院選について個別の選挙区情勢を説明。民主党の小沢一郎代表による選挙対策の活発化に触れつつ「負けたら終わりだ」と強い危機感を表明。「山本さんは(安倍氏の)政策作りにもかかわるだろう。参院選を想定した政策にしてほしい」と求めた。
また安倍氏が次期総裁に選出された場合の党役員・閣僚人事に関連して「事前に空手形を切らないようにしたほうがいい。人事は総裁選が終わってからやればいい」とアドバイスしたという。
安倍氏の優位が確立する中、第2派閥の津島派は、総裁選への額賀福志郎防衛庁長官の擁立をめぐり派内の意見が割れている。青木氏は、(1)衆院側が額賀氏擁立でまとまること(2)投票で額賀氏が安倍氏に次ぐ2位を確保する見通しがつくことを額賀氏擁立の条件としているが、この日の山本氏との会談では話題にしなかったという。周辺は「青木さんが考えていることの9割以上は参院選対策。安倍さんに直接、会うわけにいかず、山本さんに託したのではないか。一方で、第2派閥として総裁選の候補を擁立しなくていいのかと悩んでもいる」と青木氏の言動を解説した。【西田進一郎】
毎日新聞 2006年8月2日