財政再建団体申請を表明した北海道夕張市の実質赤字額が、過去5年間で計約118億8000万円増加していたことが1日、北海道がまとめた財政運営調査の経過報告で明らかになった。道は、地方交付税の削減や税収減に加え、マウントレースイスキー場の買収(02年度)が財政悪化に拍車をかけたとみている。
実質赤字額が最も増えたのは観光事業会計で、01年度に79億6000万円だったのが、05年度は144億7000万円に増大。観光事業会計の赤字増加額は、全11会計の増加額の5割強を占めていた。このほか、主なものとして一般会計の赤字が05年度(33億8000万円)までに3.6倍、病院事業会計も同年度(39億4000万円)までに1.5倍に膨れ上がった。
道は同日、05年度決算ベースの同市の実質赤字について、6月末の中間報告から一部修正し257億3000万円と報告したが、仮に5年前に再建に着手すれば、赤字額を半額程度に抑えられたことになる。
一時借入金を原資に一般会計と事業会計で貸し借りを繰り返す不適切な会計手法は、92年度に公共下水道事業会計で使われたのが始まりだったことも分かった。ただ、他会計に広く波及したのは02年度のスキー場買い上げ以降で、買い上げが同市の財政全体を圧迫していたことが分かる。
また、同日開かれた道議会総合企画委員会で、道は夕張市職員の人件費を人口で割った市民1人当たりの負担額は約20万円(04年度)で、規模が似通った自治体(約9万5000円)の2倍以上となっていることを明らかにした。【横田愛】
毎日新聞 2006年8月2日