【ワシントン木村旬】7月の米国の新車販売台数でトヨタ自動車が2位、ホンダが4位に初めて浮上したのは、ガソリン高の中、低燃費の小型車が米消費者の支持を得た結果だ。米大手3社は総崩れで、「米ビッグスリー」の地盤沈下が一段と鮮明になった。
7月の新車販売は、トヨタは主力小型車、カローラが好調だったことに加え、小型SUV(スポーツタイプ多目的車)のRAV4も前年同月比で倍増した。ビッグスリーの主力は大型SUVだが、ガソリンを大量消費するため苦戦しているのとは対照的だ。ホンダも昨年9月に発売した新型シビックが7月も6%増と堅調に伸びた。低燃費が評価され、息の長い売れ行きとなっている。
ゼネラル・モーターズ(GM)、フォード・モーター、クライスラー(ダイムラークライスラー北米部門)のビッグスリーは、日本勢にシェアを奪われ、大幅減。ビッグスリーの米国のシェアは、98年まで年間で70%台を維持していたが、7月は52%と単月では過去最低だった。
ビッグスリーは昨年夏に大幅値引きを展開した反動があり、フォードは今年後半に新型車を相次いで投入する計画があるため、トヨタの2位は一時的に終わる可能性が高い。だが、ガソリン高は続きそうで、年間ではクライスラーを抑えて、初の3位になるのは確実だ。さらに、世界販売台数では、トヨタはすでに2位だが、06年はGMを抜き、年間で首位になる可能性がある。
クライスラーは98年に独ダイムラーに合併されたが、不振のGMも日産自動車・仏ルノー連合との提携協議に入っている。日産・ルノーはGMへの出資に前向きで、資本提携が実現すると、世界の自動車業界に君臨してきたビッグスリーをめぐる勢力図は大きく塗り替わる。
一方、躍進する日本メーカーは米国での現地生産比率を高めていることもあり、ブッシュ政権は政治問題化させていない。ただ、米業界には不満が強く、保護貿易主義の色彩が濃い民主党が11月の中間選挙で勢力を拡大すると、対日批判が高まる恐れもある。
毎日新聞 2006年8月2日