「水谷建設」(三重県桑名市)の脱税事件で、東京地検特捜部は1日夕、福島県庁から県発注工事の契約書などの提出を求め、任意で押収した。脱税事件では多額の裏金が作られたことが判明しており、その一部は公共工事の受注工作に使われた疑いもあることから、特捜部は県発注工事の落札経緯について調べを進めている模様だ。
特捜部はこれまで、水谷建設と関係の深い「前田建設工業」(東京都千代田区)の共同企業体が受注した「木戸ダム」(福島県楢葉町)の入札参加業者から事情聴取し、業者側から「前田建設が受注できるよう談合した」との供述を得たとされる。特捜部はこうした工事で、水谷建設が作った裏金が受注工作に使われた可能性もあるとみている模様だ。
また、前田建設は、佐藤栄佐久・福島県知事の実弟が経営する衣料メーカー「郡山三東スーツ」(同県本宮町)の旧本社跡地を担保に01年に計4億円を融資し、この土地は翌年8月、水谷建設に約9億円で売却されていた。この取引については不当に高値で知事周辺への資金提供だったとの指摘も出ている。
特捜部は水谷建設元会長の水谷功容疑者(61)を拘置期限の2日午後、03年8月期の法人税法違反(脱税)で起訴し、翌04年の同容疑で再逮捕する方針。
毎日新聞 2006年8月2日