【ワシントン和田浩明】キューバのカストロ国家評議会議長が健康上の理由で権限を他の政府幹部に一時的に委譲した問題で、スノー米大統領報道官は2日、キューバ国民や米国のキューバ人に脱出や帰国を急がないよう呼びかけた。また、複数の有力上院議員は反体制団体などへの最大8000万ドル(約90億円)の資金提供を可能にするキューバ民主化支援法案を提出したことを明らかにした。
スノー報道官は定例会見でキューバの現状に関する見解を問われ「今は海を渡ってどちらかの方向に行こうとすべき時ではない」と発言、キューバからの性急な脱出や帰国は望ましくないとの姿勢を示した。
カストロ政権と敵対関係にある米国には1959年の同政権発足後100万人以上とも言われるキューバ国民が逃れて来たが、最近では94年に大量の難民が発生し大きな混乱が生じている。
一方、共和党のエンサイン上院議員はキューバの民主化を財政面で支援する法案を上院に提出。政府の「自由キューバ支援委員会」(議長・ライス米国務長官)が7月にまとめた対キューバ政策報告書の勧告を反映したもので、フリスト共和党上院院内総務や民主党議員らも同法案の支持を表明した。
毎日新聞 2006年8月3日