注目されているバスケットボール男子の世界選手権(19日~9月3日、さいたま市など)に引き続いて、9月29日からは横浜市で知的障害者のバスケット世界選手権が開幕する。アジアでの開催は初。障害者スポーツの祭典、パラリンピックでは02年ソルトレークシティー冬季大会から知的障害者の競技が除外されており、関係者は「競技の普及とともにパラリンピック復帰の契機にしたい」と意欲を燃やしている。
大会は横浜文化体育館を舞台に、10月6日までの8日間開催される。男子は前回優勝のポルトガルや開催国の日本など計8カ国、女子は前回覇者のロシアや日本など計6カ国が出場する。
知的障害者のバスケットには重い過去がある。初めてパラリンピックの正式競技に採用された00年シドニー大会で、優勝したスペインが健常者を出場させていたことが発覚。これをきっかけに知的障害者の競技全体がパラリンピックから除外された。08年北京大会での復帰は見送られた中、大会実行委員会の阿部克二委員長は「厳正な運営でパラリンピック復帰につなげられれば」と語る。
日本国内では99年から代表チームの活動が本格化。予選を経て00年シドニーパラリンピックへ初出場した。この大会では男子が出場8チーム中8位。02年世界選手権でも同8チーム中8位。99年から男子を指導する小川直樹ヘッドコーチは「体格差もあり、厳しい戦いが続いているのが現状」と言う。
国内では男女計約2000人が約30チームに分かれて競技を取り組んでいる知的障害者のバスケット。健常者の選手として日本代表の経験もある小川ヘッドコーチは「世界の強豪国は日本の高校生のトップを軽く倒すぐらいの力はある。彼らのプレーを通して知的障害者のバスケットの認知度を高める機会になってくれれば」と話している。【飯山太郎】
毎日新聞 2006年8月8日