カネボウの粉飾決算事件で、東京地裁は9日、証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)に問われた元中央青山監査法人代表社員で元公認会計士の佐藤邦昭被告(64)に懲役1年6月、執行猶予3年(求刑・懲役1年6月)、同じく神田和俊(56)と徳見清一郎(59)両被告に懲役1年、執行猶予3年(求刑・懲役1年)を言い渡した。
毛利晴光裁判長は「投資者の利益の保護という会計監査の本旨を忘れ、公認会計士としての高度の職業倫理に対する自覚に著しく欠けた恥ずべき姿勢」と指摘する一方、「カネボウ元社長らが主導的に粉飾決算をもくろんだ上での犯行で、粉飾へのかかわりは積極的なものではない」と執行猶予の理由を説明した。
判決によると、3被告は帆足隆元社長(70)=有罪確定=らと共謀。同社の02年3月期の決算が819億8200万円の債務超過だったにもかかわらず、資本合計欄に9億2600万円と記載し、連結純利益も64億9500万円の損失だったのに7000万円の利益と記載した虚偽の有価証券報告書を提出。佐藤、神田両被告は03年3月期も806億800万円の債務超過だったのに5億200万円と記載した虚偽の報告書を提出した。
この事件で、金融庁は中央青山監査法人に7月から2カ月間の業務停止処分を出した。同法人広報室は判決を受けて「このような事態になり非常に残念です」との談話を出した。【佐藤敬一】
毎日新聞 2006年8月9日