世界100カ国・地域から約2000人の宗教指導者が集まり、国立京都国際会館(京都市)で開かれていた第8回世界宗教者平和会議(WCRP)世界大会は29日午後、「諸宗教共同体は、暴力的な目的のために宗教を悪用することに反対し、立ち向かう」とする宣言文を採択して閉幕する。
宣言では、「他の国が脅威にさらされていたら、どの国も安全ではありえない」と、安全保障の概念を宗教的な思想を盛り込んで再定義。平和構築に向けて宗教者が影響力のある実践者、啓発者になることを誓う。また、紛争状態を打開しようとする政治交渉に宗教指導者を交えることなどを、各国政府や国際機関に求める。
今大会は9・11米同時多発テロ後初の開催で過去最大規模となり、中東の参加者も多かった。
一方、大会に出席していたイラクのイスラム教シーア、スンニ両派やキリスト教の指導者ら14人は同日午前会見し、「虐殺やモスクの破壊などを終結させるために、宗教者はわだかまりなく対話し、具体的な行動に踏み出す」とする共同声明を発表した。【丹野恒一】
毎日新聞 2006年8月29日 東京夕刊