愛知県豊川市で02年7月、ゲームセンターの駐車場の車から、同市平尾町、会社員、村瀬純さん(29)の長男、翔ちゃん(当時1歳10カ月)を連れ去り、海中に突き落として殺害したとして、殺人などの罪に問われ、1審・名古屋地裁で今年1月、無罪が言い渡された河瀬雅樹被告(39)の控訴審の第1回公判が29日、名古屋高裁であった。検察側は、捜査段階で殺害を認めたとされる自白について「信用性を裏付ける証拠が存在する」と主張、弁護側は控訴の棄却を求めた。
検察側は「予想潮位から、投棄現場は海面から石が露出していない」と指摘し、「河瀬被告が自白したとされる殺害方法でも被害者の体に傷が付かなかった点に矛盾はない」とした。また、任意同行後のポリグラフ(うそ発見器)で反応が出ていたことを明らかにしたうえで、「1審の認定は重大な誤認がある」と訴えた。
一方、弁護側は「自白の主要部分である殺害方法の変遷や動機など原判決の疑問点に(検察は)全く答えていない」と主張。公判が長期化がすれば「人権上、極めて問題がある」と述べた。
閉廷後、傍聴した純さんは「(河瀬被告を)目の当たりにして、怒りが込み上げ、自分の手でどうにかしたいという気持ちにもなった」と語った。公判については「弁護人の言い分に納得出来る部分もあり、有罪にするのは難しいかもしれないが、一生懸命頑張りたい」と話した。【岡崎大輔】
毎日新聞 2006年8月30日