来年の通常国会で人権擁護法案再提出を目指す法務省は、地域で人権相談などにあたる人権擁護委員を日本人に限る方針を固めた。当初案は外国人に門戸を開いていたが、朝鮮総連などを念頭に自民党の一部から「特定の団体の影響力が強まる恐れがある」と異論が出たことに配慮して修正した。30日の与党人権問題懇話会に報告する。
現在、人権擁護委員は日本人しかなれないが、人権擁護推進審議会は01年、「定住外国人の増加を踏まえ、外国人の選任を検討すべきだ」と答申した。法務省も「外国人の人権擁護に資する」として国籍条項の撤廃を打ち出しており、今回の修正には批判も出そうだ。
一方、新たな人権救済機関となる人権委員会は、旧法案のまま法務省の外局に置く方針。報道機関の取材を規制する条項の見直しについては、同省とメディア側で意見交換を続ける。
同法案は、人権侵害の迅速な救済を目的に02年に提案されたが、メディア規制条項などへの批判が強く、03年に廃案になった。政府は同条項を凍結して05年の通常国会に再提出の方針だったが、自民党内から異論が出て見送られた。【森本英彦】
毎日新聞 2006年8月30日