傷害:溝口敦さんの長男刺した2被告に実刑 東京地裁支部
ルポライター、溝口敦さんの長男を刃物で刺してけがをさせ、傷害などの罪に問われた東京都日野市多摩平1、建設業、上野孝夫被告(54)と養子の無職、上野浩被告(43)に対し、東京地裁八王子支部は31日、孝夫被告に懲役6年(求刑・7年)、浩被告に懲役4年(同5年)を言い渡した。松原里美裁判官は「近親者への攻撃という卑劣な手段で言論活動を侵害しようとした。社会に与えた影響も大きく厳しい非難に値する」と述べた。
判決によると、両被告は魚山恭嗣被告=傷害罪で起訴=らと共謀し、今年1月、東京都三鷹市の路上で、溝口氏の長男(当時33歳)の右足を、植木バサミを改造した凶器で突き刺し、けがを負わせた。両被告らはかつて所属していた山口組の組長を中傷する記事を溝口さんが書いているとして、記事の掲載をやめさせるため、警告の意味で計画した。孝夫被告が浩被告に指示を出す主導的な役割だった。
松原裁判官は「動機は自分たちの気に入らない言動を暴力で封じ込めようとする暴力団特有の身勝手かつ短絡的なもので、酌量の余地はない」と批判した。両被告が数日間にわたり、昼夜を問わず長男の自宅近くで見張りを続けて襲撃の機会をうかがい、落ち度のない無防備な長男を背後から刺したと指摘して「組織的計画的なもので、極めて卑劣かつ悪質」と述べた。【苅田伸宏】
毎日新聞 2006年8月31日