アジア最大となる鏡の口径3.8メートルの天体望遠鏡を、京都大、名古屋大、国立天文台と民間のナノテク関連企業・ナノオプトニクス研究所(京都市)が共同で建設する。岡山県浅口市の国立天文台岡山天体物理観測所の隣に設置し、11年に利用開始の予定。
京都大の長田哲也教授(宇宙物理学)らが発表した。新望遠鏡は、すばる望遠鏡(ハワイ、口径8.2メートル)などのように1枚の鏡を1~2年もかけて研磨する方法ではなく、世界最大の光学望遠鏡、ケック望遠鏡(同、10メートル)と同様、小型の鏡を複数組み合わせる分割鏡方式を国内で初めて採用。18枚の鏡を使う。1枚鏡に比べ、製作時間が短いうえ、日米欧で進む口径30メートル以上の巨大望遠鏡建設計画で不可欠な分割鏡技術の開発、蓄積にもなるという。
小型鏡の製作は、1ナノ(10億分の1)メートルサイズの研磨技術を持つナノ社が担当。建設費10億円も全額同社が負担する。国内で民間企業の資金援助で大型天体望遠鏡が建設されるのは初めて。完成後は京都大付属天文台が中心となり、国内の大学、研究所が連携して共同運用する。長田教授は「すばる望遠鏡と互いに補完する形で、星が形成される過程などの新発見を狙いたい」と話している。【奥野敦史】
毎日新聞 2006年8月2日