社会保険庁は中小企業のサラリーマンや家族が加入する政府管掌健康保険(3562万人)の保険証について、来年1月から裏面に臓器提供の意思表示欄を設けたものに切り替える。脳死、心停止した際の臓器提供普及が目的で、プライバシーに配慮し、希望者には意思表示欄を隠すためのシールも配布する。
臓器提供の意思表示カードは、日本臓器移植ネットワークが行政機関の窓口などで配っているが、普及していないのが現状。そこで政府が運営し、市町村の国民健康保険(4761万人)に次ぎ規模が大きい政管健保がリードすることで、普及を図ることにした。
保険証の裏面には、脳死判定後または心停止後の臓器提供意思の有無、提供しても構わない臓器の種類などにチェックをつける方式の意思表示欄を設ける。記入するかはあくまで本人の任意で、途中で意思が変わった場合は、社保庁に申請し保険証の再交付を受ければよい。
政管健保の保険証は03年度以降「家族に1枚ずつ」から、クレジットカードサイズの「加入者1人に1枚ずつ」へ順次切り替えられている。保険証に意思表示欄を設ける取り組みは、滋賀県内の国民健康保険などが先行している。【吉田啓志】
毎日新聞 2006年9月4日