前社長の堀江貴文被告らによる証券取引法違反事件で上場廃止になり、経営再建中のライブドアが、当初目標にしていた有線放送最大手、USENとの経営統合を当面棚上げし、自主再生を目指す方針であることが4日、分かった。インターネットサイトの相互乗り入れなどの業務提携は続けるが、年内をめどに策定している中期経営計画にはUSENとの経営統合は盛り込まず、当初想定していた12月の株主総会への統合提案も見送る。
ライブドア首脳は「自力で信頼回復を目指す姿勢を示さなければ(統合しても)取引が広がらない」と、統合見送りの背景を説明する。USENの業績不振で、同社の株価が低迷しているために、ライブドアの発行済み株式の過半を保有する外資系ファンドなどが、USENによる株式交換を使ったライブドアの経営統合・完全子会社化に難色を示しているのも、見送り要因になった。
このため、ライブドアは今後2、3年を見据えた中期経営計画では、中古車販売のカーチス(旧ライブドアオート)など本業のインターネット事業と相乗効果が薄い関連事業の整理と、主力のネットのポータル(玄関)サイトやメディア事業の強化を柱にする。USENとの関係は当面、このポータル、メディア事業強化の一環としての業務提携にとどめる方針だ。
宇野康秀社長が今年6月ライブドア社外取締役に就任したUSEN側も、ライブドア経営陣の意向を尊重し、統合問題を時間をかけて検討していくと見られる。【竹川正記、森有正】
毎日新聞 2006年9月5日