ビルの内装材などとして使われる「けい酸カルシウム板」の販売を巡り、建材メーカーが価格カルテルを結んでいたとして、公正取引委員会は5日、「ニチアス」(東京都港区)と太平洋セメント系列の「エーアンドエーマテリアル」(横浜市)=いずれも東証1部上場=の本社、支店など二十数カ所を、独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで立ち入り検査した。
関係者によると、2社はけい酸カルシウム板の販売を巡り04年秋、価格を10%値上げする価格カルテルを結び、販売先に値上げを要請した疑いが持たれている。さらに、昨年春にも再度カルテルにより値上げを図ったとされる。
2社は04年の値上げの際、製造燃料である重油価格の高騰や、原材料のパルプ価格上昇などにより製造販売コストが上昇した、と説明していた。
けい酸カルシウム板はくぎ打ちや切断などの加工が容易で、軽量かつ断熱、防音、耐火に優れているため、事務所や公共施設、住宅などの内装材として幅広く使われている。年間市場規模は約200億円で、2社だけで約4分の3のシェアを占める。2社は「立ち入り検査を受けているのは事実だが具体的なことは分からない」としている。【斎藤良太】
毎日新聞 2006年9月5日