高齢女性2人と成年後見契約を結び、財産の返還などを求められている東京都内の訪問リフォーム会社社長が、うち1人の遺言の執行人を信託銀行から自分に変更していたことが分かった。女性の弁護士は「社長に都合の良いように書き換えられ、女性は事情を分かっていなかった」として、この遺言を取り消した。
書き換えられたのは、杉並区在住の94歳女性。渋谷区内の所有地を同社員に売却したが、代金6500万円の大半が不明になっている。社長はこの取引後に成年後見契約を結んだが、公証役場で書類を作成する際、女性が以前に自ら作成していた遺言も書き換えた。
弁護士によると、遺言執行人は社長になり、社長は相続人の同意なく資産を処分できるとの文言が書き加えられた。また、女性はこのリフォーム会社に2000万円を出資していたため、以前の遺言には債権として記載されていたが、新しい遺言にはなかった。
社長は「出資金は現金で返した」としているが、弁護士は「確認できない」としている。【成年後見取材班】
毎日新聞 2006年9月5日