消費者金融の貸出上限金利の大幅引き下げを目指した金融庁の規制案は、自民党貸金業小委員会で規制積極派と慎重派双方から激しい攻撃にさらされ、修正が避けられない情勢になった。同小委は、上限金利を数年かけて下げていく「段階引き下げ案」も選択肢に入れて週明けに再検討を行う予定で、規制強化をめぐる議論は正念場を迎えている。
新たに浮上した段階引き下げ案は、金融庁案が改正法施行3年後に上限金利を出資法の水準(29.2%)から20%まで引き下げるのに対し、参入規制や貸出総額規制など他の規制強化を進めながら、数年かけて金利を引き下げる。金利引き下げを段階的に行うことに伴い、少額・短期の貸し出しに適用する予定の特例措置は撤回する。
段階論が急浮上した背景は、金融庁案が、規制積極派・慎重派双方から強い批判を浴びたためだ。規制強化を求める若手議員は、特例高金利を「制度の抜け穴だ」と批判し、金融庁案での取りまとめを拒否した。一方、慎重派は「金利を一気に引き下げるから、特例などというおかしなものが出てくる」と批判。特例をやめて、その代わりに段階的に金利を引き下げる方が分かりやすいという考えから、段階引き下げが現実味を帯びてきた。
ただ、段階的引き下げは「規制議論の後退」との批判を受ける可能性がある。与党は7月に上限金利を利息制限法の水準に引き下げることで一致しており、増原義剛委員長も「上限を20%に下げることは揺らいでいない」と強調するが、自民党は難しい調整を迫られている。【坂井隆之、清水憲司】
毎日新聞 2006年9月8日