自民党総裁への就任が確実視される安倍晋三官房長官は13日、新政権発足の際の党役員人事で、同じ森派の中川秀直政調会長(62)を幹事長に起用することで調整に入った。党三役のうち残る総務会長、政調会長については他派から人選を進める方向だ。また、閣僚人事では、内閣の要となる官房長官に町村信孝前外相(61)=森派、与謝野馨金融・経済財政担当相(68)=無派閥=らが浮上している。
複数の安倍氏周辺が明らかにした。
中川氏は安倍氏の後見人的存在。昨年10月の内閣改造・党役員人事で党政調会長に就任し、党側から小泉改革を推進している。民主党と対決する秋の臨時国会や来夏の参院選をにらみ、党務に通じ、公明党とのパイプも太く適任と判断したとみられる。
中川氏は広島4区選出で当選9回。科技庁長官、党幹事長代理、官房長官、党国対委員長などを歴任している。安倍氏は6日、毎日新聞などのインタビューで総裁と幹事長を異なる派閥から選びバランスに配慮する「総・幹分離」について「派閥の姿が大きく変わった中では意味がなくなっている」と語り、自身と同じ森派からの幹事長起用もあり得るとの考えを示していた。
一方、官房長官は総裁と同じ派閥から起用されるのが慣例だが、幹事長に中川氏をあてた場合、官房長官も森派から起用するかが焦点。町村、与謝野氏らベテラン勢の一方で、安倍氏に近い無派閥の石原伸晃前国土交通相(49)や、塩崎恭久副外相(55)=丹羽・古賀派=ら中堅議員の抜てきを探る意見もある。
毎日新聞 2006年9月14日