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憂楽帳:カニかま

 戦後食品の「三大発明」と言えば? 答えはインスタントラーメン、レトルトカレー、もうひとつはカニ風味かまぼこなのだそうだ。隠れたヒット食品と呼ばれる。

 コピー食品の代表例でもあるカニかまは、珍味業界で不足していた中華クラゲのイミテーション作りから始まった。ある時、海草からの抽出物で作ったクラゲもどきを刻み込むとカニ肉に似た食感が生まれたと「食品のカラクリ」(宝島社)に書いてある。

 そのカニかまがピンチという。いまでは主な原料となるスケトウダラのすり身が高騰しているのだ。サラダにカニかまを入れる欧州のヘルシー志向が需要を伸ばし、値を上げた。1本当たりの重量を減らす国内メーカーもある。

 酒のつまみを買いによくスーパーに行く。練り製品の中でもカニかまは実に品数が多い。生き残りをかけた歴史と知恵がひしめき合う世界。時にはノーベル賞級の独創性も要求される。

 業界では「本物のカニより美味なカニかまを作る」と鼻息は荒い。再びヒットを飛ばすか。ピンチの後の好機を狙う。【亀山浩和】

毎日新聞 2006年9月20日

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