【ジュネーブ澤田克己】スイスで難民審査を厳しくする難民法改正の是非を問う国民投票が24日行われ、賛成多数で法改正が承認された。欧州では近年、対テロ政策の一環として移民や難民への規制が厳しくなりつつあるが、これまで難民受け入れに最も積極的だったスイスの政策までが大きく方針転換することになる。
地元メディアによると、開票結果は賛成67.7%、反対32.3%。投票率は48.2%。
改正法の柱は、入国から48時間以内に旅券など有効な公的証明書を提示できなかった人の難民申請を原則却下--など。昨年12月の連邦議会で可決されたが、スイスの人道主義的イメージが壊れることを懸念する左派政党などの請求で国民投票にかけられていた。
スイス・ジュネーブに本部を置く国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のスピンドラー報道官は毎日新聞に「残念な結果だ。難民審査の強化は欧州全体の流れとなっているが、スイスの改正難民法は欧州でもっとも難民に対して厳しい部類に入る」と語った。
この日の国民投票では、欧州連合(EU)加盟国とノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタインの計28カ国以外からの移民規制を強化する外国人法改正も、68%の賛成多数で承認された。
スイスには現在、人口約725万人の2割以上となる約150万人の外国人が居住している。このうち約63万人が、外国人法で定めた28カ国以外の出身者。特に地理的にも近い旧ユーゴスラビア諸国やトルコの出身者が多数を占めている。
毎日新聞 2006年9月25日