福島県発注工事を巡る談合事件で、東京地検特捜部は今後の捜査方針について近く最高検や東京高検と最終協議する模様だ。事件では佐藤栄佐久前知事側への資金提供疑惑などが浮上している。
これまでの調べでは、前知事実弟で衣料メーカー「郡山三東スーツ」会長、佐藤祐二被告(63)=競売入札妨害罪で起訴=は、同社の旧本社跡地を担保に01年、前田建設工業(東京都千代田区)から4億円を借り入れ、02年8月には跡地を水谷建設(三重県桑名市)に8億7000万円で売却し、前田側の借金を返済。さらに翌9月、祐二被告の経営する別の会社に水谷建設から1億円の融資を受け、03年2月に跡地売却代金を1億円上乗せすることで、この融資を返済していた。
この土地取引前の00年8月、前田建設が参加する共同企業体は県発注の木戸ダム(同県楢葉町)を約206億円で受注。水谷建設も下請け工事を受注しており、特捜部は土地取引を工事受注の見返りとみている。
一方、04年の知事選を巡っては、祐二被告らが談合調整の見返りに業者から受領した数千万円を地元県議らに配った公選法違反(買収)の疑いが浮上。ただし、既に出直し知事選に向け動き出していることなどから、検察内部には2年前の公選法違反の立件に慎重な意見が出ている。
毎日新聞 2006年10月23日