北海道と福岡県で「いじめ自殺」が起きた。2人の子どもが自ら命を絶った。いま、いじめと戦っているあなたには生き続けてほしい。
あなたが死んだら、あなたの友達は泣くだろう。泣いてもあなたが戻ってこないことを知り、悲しみを抱きしめて生きていくだろう。
あなたをいじめた人たちは、自分の罪の重さを思い知るだろう。でも考えてみてほしい。いじめる人たちはほとんどの場合、一人ではない。大勢だから、あなたを気軽にいじめるのだ。
そういう遊び半分の行いの犠牲になる必要はまったくない。我慢する必要もない。耐えられなくなったら逃げればいい。「私は悪くない!」と大声を上げればいい。
あなたは優しい。理不尽なことだが、優しいからいじめられてしまう。優しいあなたなら、残された人の気持ちを自分の悲しみとして感じることができるだろう。
あなたがいなくなったら、家族はどんなに悲しむだろうか。あなたの苦しみに気づいてあげられなかったことを一生後悔しながら生きていくだろう。今まで育ててくれたお父さんやお母さんのためにも、あなたは死んではいけない。
あなたには勇気がある。臆病(おくびょう)者は死のうなんて考えない。その勇気と優しさがあったら、あなた自身も、ほかの人も救うことができる。
あなたが死んでも、大人たちがあなたの尊厳を守ってくれる保証はない。実際、真相を隠したり、責任をなかなか認めなかった。そんな人たちに、あなたのいのちの叫びを託してはいけない。生きて叫んでほしいのだ。(科学環境部)
毎日新聞 2006年10月25日