福島県発注工事を巡る汚職事件で、前知事の佐藤栄佐久容疑者(67)=収賄容疑で逮捕=の実弟が経営する「郡山三東スーツ」の当時の取締役で東京地検特捜部の事情聴取後に自殺を図った幹部社員が、土地代金9億7000万円の一部を、前知事側への資金提供と認めていたことが分かった。特捜部は、時価を超えた土地売買そのものを「わいろ」と認定しているが、前知事と接点を持つ人物がわいろ性を認識していたことを重視し、前知事を追及している模様だ。
関係者によると、この幹部は現在、総務部門の部長職で、03年に解散した前知事の政治団体の会計責任者も務めた。特捜部の事情聴取を複数回受けて調書の作成に応じ、今月19、20日も聴取予定だったが、19日の聴取前に自宅のある郡山市内で自殺を図り、意識不明の重体となっている。
問題の土地取引は、前知事と実弟でスーツ社会長の佐藤祐二容疑者(63)=同容疑で再逮捕=が、木戸ダム建設工事を前田建設工業などの共同企業体に受注させるよう便宜を図った見返りとして02年8~9月、スーツ社旧本社跡地を、前田建設の指示を受けた水谷建設(三重県桑名市)に約9億7000万円で買い取らせたとされるもの。
祐二容疑者はこの際、当初8億7000万円だった代金に1億円上乗せするよう要求。スーツ社幹部はこの増額分について「土地取引とは無関係」などと供述し、前知事側への資金提供との認識を示したという。
毎日新聞 2006年10月25日