オウム真理教(アーレフに改称)から脱退した上祐史浩前代表(44)8日、東京都世田谷区南烏山のマンションにある拠点で記者会見した。4~5月に設立する予定の新団体について、「麻原(彰晃=松本智津夫死刑囚=)氏には何の位置づけも与えない」と述べ、松本死刑囚との「決別」を強調した。
新団体は現在と同じマンションを拠点とする予定だが、上祐前代表は「地域住民に精神的、経済的な苦痛を与え、理不尽なしわ寄せがかかっていることを申し訳なく思う」と話した。被害者への賠償については、信者数に応じた割合で新団体も負担する意向を示した。
オウム真理教被害対策弁護団の小野毅事務局長は「麻原と決別するといっても、実態はそうでなく、分裂したに過ぎない。オウムが二つになっただけだ」と話している。
◇アーレフが文書
上祐史浩前代表らが教団を脱退したことについて、アーレフ広報部は8日、「上祐氏らの脱会について」と題する文書を出した。文書は、グループの信者65人が7日付で脱会したと説明。「上祐氏が代表就任以来、強硬に推し進められた拡大路線と、それを実現させるための欺瞞(ぎまん)性(いわゆる゛麻原隠し゛)が信者からも受け入れられず、上祐氏が立場を失ったことが大きな原因でした。集団脱会という結末は残念」などとしている。
◇「活動実態を解明」公安調査庁
上祐史浩代表ら約60人が教団を脱退したことに関し、公安調査庁の片岡義篤第1部長は8日会見し、「引き続き観察処分を厳正に実施し、上祐派の活動実態の解明に努めていく」と述べた。公安庁は、上祐派が依然として松本智津夫(麻原彰晃)死刑囚(52)の影響下にあるとみており、アーレフと同様に団体規制法に基づく観察処分を適用して、立ち入り検査などを実施していく方針だ。
毎日新聞 2007年3月8日 23時21分 (最終更新時間 3月9日 0時39分)