国内の薄型テレビ需要が拡大する中、低価格を売り物に市場に参入する中堅メーカーやベンチャーが目立ち始めた。最高品質のハイビジョン映像(HD)を表示するフルHD対応機種も、値ごろ感のある製品を投入し始めており、消費者にとって選択肢は広がりそうだ。
03年に創業したベンチャー企業の「バイ・デザイン」(東京都)は、液晶テレビを中心に15~47型の製品を扱う。5日には、フルHD対応の大画面液晶テレビ2機種を発売した。42型が約22万円、47型は約27万円で、大手の製品に比べると最大で半額程度安い。
同社は企画や販売に専念し、生産設備を持たない「ファブレス・メーカー」と呼ばれるタイプの企業。生産は、コストの安い中国メーカーに生産を委託している。広告宣伝費もゼロだという。
2年前に液晶テレビに参入した通信機器メーカー、ユニデンは20~42型の5サイズをそろえる。昨年末にはフルHD対応の37、42型を発売した。このうち37型は約19万円で、1インチ当たり約5000円と割安だ。
同社は中国の自社工場で生産しているが、販売方法は、消費者からネットや電話で注文を受けて製品を直送する直販システムを採用している。流通段階での中間マージンを排除した。また、裏番組を表示する「2画面表示」など、一般消費者はあまり使わないとされる機能を省いて価格を抑えた。だが、同社の片岡憲保デジタル家電事業本部長は「フルHDは、大手の普及機種と同レベルの液晶パネルを使っている」と説明する。
中堅家電メーカーの船井電機は昨夏、過去に一度撤退した液晶テレビに再参入し、20型と32型を発売した。家電量販店最大手のヤマダ電機と提携し、32型は12万~13万円で売る。製品原価の半分以上を占める液晶パネルを完成品では買わず、より安い部品単位で購入し、中国の委託工場でパネルを組み立てた。
調査会社BCNの道越一郎・WebBCNランキング編集長は、新規参入企業について「薄型テレビを安く買いたい人のニーズに合った。ただ、消費者が購入する際は、同じ売り場で複数の商品を見比べることを勧める」と話している。【遠藤和行】
毎日新聞 2007年3月10日 19時44分 (最終更新時間 3月10日 20時35分)