【ロンドン藤好陽太郎】欧州最大の銀行、英HSBCが06年12月期決算で過去最大の不良債権処理を行ったにもかかわらず、経営トップのボーナスが約4億円にも上ったことが判明した。経営責任どころか高額のボーナスを取得したことに行員からは、批判の声も上がっている。
HSBCによると、ゲーガン最高経営責任者(CEO)の昨年のボーナスは約175万ポンド(約4億円)でグリーン会長は約153万ポンド(約3億5000万円)。2人ともほぼ前年並みだったという。
HSBCは、米国の住宅ローン債権が急激に不良化したのを受け、貸し倒れ引当金を前期比36%増の106億ドル(約1兆2400億円)積み増した。アジアなど新興国の資産を急膨張させた結果、純利益は同6%増の168億ドルと過去最高を記録したが、「アジアでも資産が不良化するのではないか」との懸念から昨年秋以降、株価が下落。ゲーガンCEOも「不良債権処理に2、3年はかかる」と厳しい状況を認めている。
両トップらのボーナスは、業績で決まることになっている。グリーン会長は「報酬委員会が決めたもの」と正当性を強調するが、内部からは「多額の不良債権を処理したにもかかわらず、高額のボーナスに変わりがないのは納得いかない」との不満が出ている。
毎日新聞 2007年3月13日 19時36分 (最終更新時間 3月13日 20時40分)