東京電力と関西電力が水力発電所の取水量データを改ざんし国土交通省に報告していた問題で、新たに東北、中部、北陸、中国、四国、九州の各電力とJパワー(電源開発)の各社もほとんどの発電所で同様の改ざんをしていたことが14日、分かった。東電と関電の改ざんを受けて国交省が調査を指示、各社が報告書を出した。水力発電所を持つ電力会社10社のうち、9社までが同様の行為をしていたことになる。
四国電力を除く各社は、取水量や発電機の出力が許可された上限を超えた場合に、ちょうど最大値だと記録するようなコンピュータープログラムを導入するなどしていた。改ざんは手作業でも行われており、始まった時期は特定できないが、大正時代から続いている可能性もあるという。
四国電力は、不正なプログラムは使っていなかったが、古いもので74年以降、同社の全58水力発電所で、取水量が上限を超えた場合に、ちょうど上限値として報告してきた。今回、同省四国地方整備局に問い合わせたところ問題はないとされ、同省への正式報告はしなかったという。これに対し同省水政課は「数字を変えたなら明らかに改ざんだ」と話す。
動機はほぼ各社共通で「ダムの水位変化などで発電出力がゆらぎ、上限値を超えることがある。国に説明する手間を省きたかった」などとしている。一方、改ざん行為については「長年の慣行で意図的な不正ではない」(中部電力)、「フェアではなく改ざんだったと考える」(Jパワー)など見解が分かれた。
北海道電力は、改ざん事例はなしと報告したが、河川法上の取水許可について違法の疑い5件を同省に指摘された。【高木昭午】
毎日新聞 2007年3月14日 21時37分