世界ボクシング評議会(WBC)スーパーフライ級前王者で、同バンタム級4位の徳山昌守(32)=金沢、本名・洪昌守=が15日、日本ボクシングコミッション(JBC)関西事務局に引退届を提出し、受理された。徳山は引退会見で、「人生の半分以上がボクサーだったからさみしい気持ちはあるが、今後は自分をここまで成長させてくれたボクシング界に尽力したい」と語った。
徳山は、自筆の引退届を安田裕候事務局長に「考え続けた引退届です」と手渡した。会見では、引退を決意したきっかけについて、昨年11月に挑戦状を手渡した同バンタム級王者の長谷川穂積(千里馬神戸)の4度目の防衛戦の対戦相手に選ばれなかったことを挙げ、「最終的には、(長谷川に)指名されなかった時点で引退しようと思った」と語った。
徳山は94年にプロデビュー。通算戦績は36戦32勝(8KO)3敗1分けで、通算9度の防衛は日本ジム所属選手では歴代3位タイ。世界戦通算11勝と、00年8月から04年1月まで記録した連続8度の防衛は国内歴代3位。在日朝鮮人であることを公言したボクサーとしては初めて世界王者となり注目を集めた。
一度失った王座を奪回した05年7月の川嶋勝重(大橋)戦後に、「闘志がわかない」などとしてジム側に引退を申し入れたが、そこから約1年8カ月の間、進退が揺れ続けた。「自分の考えだけではどうにもならないことも正直あった」と苦悩の日々を振り返ったが、「(引退を決め、今は)すっきりした。ボクシングでやり残したことはない」と笑顔で言い切った。また今後については「将来的には、ジムを経営し選手を育成したいと思っている」などと話した。【平本泰章】
毎日新聞 2007年3月15日 18時45分 (最終更新時間 3月15日 20時18分)