石川県の能登半島沖を震源とする地震で大きな被害を受けた同県内では25日、約2600人が避難所で一夜を過ごした。一夜明けた26日、各自治体の全壊家屋が68戸(石川県調べ)に増えるなどさらに被害拡大が明らかになった。同日午前7時16分ごろには、輪島市などで震度3を観測するなど余震活動は続いている。同県の谷本正憲知事は、被害の大きさから国に対し激甚災害指定を要請する考えを示した。気象庁は同日、この地震を「平成19年(2007年)能登半島地震」と命名した。
午前9時現在の被害は▽石川県=死者1人、重傷者21人、軽傷者156人、建物全壊68戸、半壊164戸▽富山県=重傷者1人、軽傷者11人▽新潟県=重傷者1人、軽傷者3人--など。
このうち、石川県内では、輪島市などを中心に全壊家屋が25日午前11時現在で42戸だったが、調査が進み68戸に拡大。他府県の応援で編成された緊急消防援助隊がなどが、同県輪島市門前町を中心に、家屋などに取り残された人がいないかどうかの捜索を終えたが、新たな死者や行方不明者は出ていない。一方で、一時、最大約1万3250世帯に上った同県内の断水状況は、1万戸以下になり、徐々に解消しつつある。
能登空港(石川県輪島市)は、ひび割れした滑走路の修復や進入灯の修理が夜通し行われ、26日午前8時までに完全復旧した。JR七尾線が26日朝から通常通りの運行を始めた一方で、第三セクター「のと鉄道」(七尾市-穴水町)は、レールが曲がるなど25カ所で問題が見つかったが、工務担当職員が6人しかいないため、復旧まで1週間程度かかる見通し。
また、応急危険度判定士による家屋の判定が始まるなど、被災者の生活復旧に向けた活動も一部で始まった。県警の女性警察官が早朝から避難所まわりを開始し、高齢者を中心とした心のケア対策に取り組み始めた。また県は保健師を各避難所に配置し、臨床心理士、精神科医らの巡回を開始した。県や日本赤十字社が輪島市で25日までに毛布4450枚、おにぎり1880食を配り、26日朝は同市内で炊き出しによる給食支援も始めた。
また、石川県はボランティア活動に必要な費用を、97年のロシアタンカー・ナホトカ号の重油流出事故の際、同県に寄せられた義援金と県費を積み立てた「県民ボランティア基金」(10億円)から取り崩すことを検討している。
毎日新聞 2007年3月26日 11時19分 (最終更新時間 3月26日 11時39分)