日本テレビが昨年8月28日に放映した情報番組「NEWSリアルタイム」で、JR前橋駅周辺の集団暴走族の取材を巡り、番組スタッフが事前に少年らに撮影日などを伝えていたことが、群馬県警の調べで分かった。撮影後、スタッフが少年の携帯電話に電話をかけていたことも判明。県警は、テレビ取材により集団暴走が大規模化した可能性もあるとみている。
この報道は「パトカー囲み集団挑発、憤激!群馬県警VS暴走族」のタイトルで約20分間放送。同7月30日未明に同駅周辺で蛇行運転を繰り返す改造オートバイ数十台を警察官が取り締まる様子などを、日本テレビ系制作会社「NTV映像センター」のスタッフが取材し、報道した。
県警はこの集団暴走で、少年ら23人を道交法違反(共同危険行為)の疑いなどで逮捕。そのほとんどが「テレビカメラがあると聞いて来た」などと供述した。調べでは、同23日に同駅周辺を暴走する少年らにスタッフが「来週また撮影に来る」と伝えており、少年の携帯電話に電話をかけていたことも通話履歴などから分かった。県警は、少年らの間で撮影情報が広まり、テレビカメラの存在で暴走行為に弾みをつけた可能性があるとみている。【鈴木敦子】
◇あおり、あり得ぬ 日本テレビ総合広報部の話
取材内容を事前に伝えれば若者たちが集まることは分かり切っており、そんなことはしていない。県警からも事情聴取は受けていない。元々は駅前にたむろする若者の取材だったので、彼らの家庭環境などをより深く取材しようと連絡先を聞いた。しかし、電話で暴走をあおるようなことはあり得ない。
毎日新聞 2007年3月26日 11時34分