政府はバイオ燃料の原料となる非食物の植物「ジャトロファ」について、アフリカでの栽培を広めるため、経済支援に乗り出す。穀物から作ったバイオ燃料は食物価格上昇の一因とも指摘されるが、新たな「非食物バイオ燃料」の普及により、食糧問題解決と地球温暖化対策の両立、さらにはアフリカの地域開発という「一石三鳥」を目指す。
福田康夫首相は3日のローマでの「食糧サミット」で、食糧を使わないバイオ燃料の必要性を強調した。外務省によると、ジャトロファは中南米原産の低木で、乾燥地でも成長が早く、油がよく取れるという。繰り返し栽培でき、穀物に代わる有力なバイオ燃料の原料とされる。二酸化炭素の吸収にも役立つ。
アフリカ各地で栽培が進み、マリの首都バマコ郊外の村では、ジャトロファによる燃料が村内や周辺地域の発電、自動車にも使われている。売り上げが住民らの貧困解消につながる効果もある。
栽培支援は、当面は普及が進むマリを中心に、自治体や非政府組織などに対する「草の根無償資金」(上限1000万円)で援助する。国際協力機構(JICA)を通じ、村落開発に詳しい専門家の派遣も検討する。【鵜塚健】
毎日新聞 2008年6月8日 東京朝刊