社会保障国民会議の中間報告骨子は肝心の財源問題については「必要な財源を確保」と指摘するにとどまった。消費税増税で与党内の賛否が割れているうえ、来年9月までに実施される総選挙を意識し、国会内で「消費税アレルギー」が強まっている事情を反映している。基礎年金の国庫負担割合引き上げや道路特定財源の一般財源化に向け、政府・与党は今秋の「税制抜本改革」を強調するが、腰が引けた印象は否めない。
「財源に踏み込む前に考えなければいけないことがたくさんある」。福田康夫首相は12日夜、中間報告を受けて首相官邸で記者団に説明した。
自民党財政改革研究会の与謝野馨会長は同日午前、「2010年代半ばまでに消費税を少なくとも10%程度まで引き上げる」との提言を携えて官邸に首相を訪ねたが、その際も首相は「今後の経済情勢も見極めないといけない」と慎重だった。
増税論議をリードするとみられた財革研は11日、税制抜本改革の時期について、提言から「今秋」を削除。自民党税調の津島雄二会長は同日、津島派の会合で「選挙にマイナスになる政策をやらない勇気を持っている」と派閥幹部に伝えた。
党内では、経済成長を重視し、消費税増税に反対する中川秀直元幹事長を中心に、与謝野氏らとの路線対立もある。「消費税を持ち出せば確実に次の衆院選で負ける」との恐怖感もあって、「消費税は数年かけて検討すればいい」(中堅議員)との先送り論も出始めた。【坂口裕彦】