政府・与党は12日、後期高齢者医療制度の見直しに関する協議会を開き、年金収入が低い人の保険料を最大で90%減らすことや、年金から天引きされる保険料を、10月以降は家族が肩代わりできることを柱とした修正案に合意した。同制度は高齢者や野党の批判が強く、福田康夫首相は2回目の年金からの保険料天引きが実施される13日までに対策を打ち出すと表明していた。ただ、対象を75歳以上に限定した制度の根幹はそのままで、批判沈静化の見通しは立っていない。
保険料軽減措置の本格実施は09年度から。全員一律に払う均等割りについて、年間の年金収入が80万円以下の人は、いま70%減なのを90%減とする。年金153万円超の人が支払う所得割りも、年金210万円以下の人は25~100%の4段階で減免する。所要額は計約330億円。
08年度は暫定措置として、均等割りが70%減となっている約470万人全員を対象に10月から半年間保険料を徴収しない。所得割りも年金210万円以下の人は、一律50%軽減する。約560億円が必要となる。
また、年金収入が180万円未満の人は、保険料を年金からの天引きでなく同居する子供らの口座からの引き落としも可能とする。過去に未納がない人も、本人の口座からの引き落としを認める。保険料の滞納者に医療費を一時的に全額自己負担してもらうために発行する資格証明書は、ある程度の収入がありながら滞納を続けるなどの悪質なケースに限定することも合意した。
与党が検討していた▽サラリーマンの子供などに扶養されている人の保険料軽減(10月~来年3月は90%軽減)の継続▽70~74歳の医療費自己負担(2割)を1割に凍結している措置の継続--などは、計3000億円近くの財源が必要なため結論を先送りした。【佐藤丈一】