政府・与党の後期高齢者医療制度の運用改善策は、今回示された低所得者の保険料軽減措置などに限れば、必要な財源は08年度が560億円、09年度以降は年間330億円にとどまる。財務省も「対応可能な金額」としており、「政府の社会保障費抑制方針に支障はない」(町村信孝官房長官)見通しだ。
ただ、政府・与党は今後、70~74歳の医療費自己負担の引き上げ凍結を延長するといった高齢者対策の拡大も検討するとみられる。今回の対策で「検討課題」とされた施策もすべて実施されれば、必要となる財源は最大で年間4000億円にも膨らむ見通しだ。
福田康夫首相は10日の経済財政諮問会議で「社会保障も聖域としない」として、07~11年度までの5年間で社会保障費の伸びを計1.1兆円(年平均2200億円)抑制する政府方針の堅持を表明した。しかし、与党内ではすでに、高齢者医療費負担の軽減策の財源は「別枠」で扱うべきだとの声が出ており、政府の社会保障費抑制策は事実上、骨抜きになりかねない状況だ。【清水憲司】