原子力規制委員会は4日、定例会合を開き、原子力発電所の事故を想定した医療体制に関する検討を始めることを決めた。東京電力福島第1原発事故の際、患者の受け入れ拒否が多発した反省を踏まえ、被曝(ひばく)医療の体制を見直し、混乱が生じない仕組みを整えるのが狙いだ。
有識者らで構成する検討会で4月から議論を始める。地震と原発事故の同時発生など複合災害も想定し、必要な医療が行き届くよう体制の詳細を詰める。患者の受け入れ拠点となる地域の医療機関の位置づけや役割を明確にするほか、除染のあり方なども検討する。
4日の会合では、事故時に住民の被曝を防ぐ「原子力災害対策指針」の改定案もまとめた。放射性物質を含む空気の塊(プルーム)が拡散する恐れがある場合は、必要性を判断したうえで半径30キロ圏外の住民にも屋内退避を求める。
廃炉が進む福島第1原発については今後、放射性物質が大量に放出される可能性は低いと判断。状況に応じて避難区域への立ち入りを中止するなどの対応を取る。
一般からの意見を募集したうえで、今春にも指針を改定する。