静岡県は15日、中部電力浜岡原発(同県御前崎市)の事故を想定した広域避難計画の修正案を発表した。避難対象は原発から31キロ圏にかかる11市町の約94万人で、有事の際の避難先となる県外12都県の349市区町村名を初めて明示した。これまでの計画は12都県名を示すにとどまっていた。
県は原発事故単独と、大規模地震や津波も起きる複合災害の二つのケースを想定。複合災害の場合、単独災害で示された市町村へ避難できなければ、さらに遠方に避難する。避難先には349市区町村のほか県内市町も含まれる。
御前崎市に隣接する掛川市の場合、単独災害だと愛知県の岡崎市や豊田市など16市町村へ避難。これらへ避難できなければ、富山県魚津市や富山市など11市町村へ避難する。島田市の場合、単独災害だと静岡県内15市町が避難先となり、避難できない場合は東京23区などへ避難する。
静岡県はまた、住民避難時に行う放射能汚染検査の実施場所として県内16カ所を修正案に示した。東名高速道路を避難経路に使う場合、焼津市の日本坂パーキングエリア(PA)と静岡市の日本平PAを候補に挙げた。県は県内各市町の意見を聞いて24日ごろに修正案を完成させ、県のホームページに掲載する予定だ。(細見卓司)