東京消防庁は4日、同日午前11時23分から約9分間、東京都23区内からの119番が不通になるトラブルがあったと発表した。復旧後の通報内容などから、病気やけがが重くなったり、消火が遅れたりした例はないとみられる。23区全域での不通は初めて。同庁は受信装置の故障が原因とみて調べている。
同庁によると、119番の受信や消防署への指示を担当する総合司令室で、通信員が受信装置につながるタッチパネルが反応しないことに気づき、不具合が発覚した。予備装置に切り替え、11時32分に通報の受け付けを再開した。
通常、約9分間には15件程度の通報があるという。不通の直前や直後に重傷者の搬送や火災の発生などはなく、緊急事態への対処が遅れた可能性は低いとみられる。ただ、台東区内で「119番がつながらない」と近くの消防署に直接、体調不良を届け出たケースがあった。
同庁は2月25日に受信装置を12年ぶりに更新した。インターネットに接続していないため、外部からの不正アクセスなどによる攻撃の可能性は低いという。同庁の荒井伸幸総務部長は4日夜に記者会見し「大変な迷惑と心配をおかけしおわびする。原因を早急に究明し、再発防止に取り組む」と話した。