福岡市博多区の原三信(はらさんしん)病院にタクシーが突っ込み10人が死傷した事故で、故障などを感知するタクシーの車載装置を福岡県警が解析したところ、異常は記録されていなかったことが県警への取材でわかった。ブレーキペダルにも不具合は見つからず、県警は運転操作ミスの有無を調べている。
原因究明、カギはEDR タクシー病院突入事故1週間
捜査関係者によると、タクシーにはエンジンなど車体の各部の故障などを記録するコンピューターが搭載されていた。県警がこの装置や車体を調べたところ、事故前にブレーキに異常があったような形跡は見つからなかったという。
県警はこの装置とは別に、事故直前のブレーキやアクセルなどの操作状況を記録したイベントデータレコーダー(EDR)の解析も進めている。
県警によると、個人タクシー運転手の松岡龍生(たつお)容疑者(64)=自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷)容疑で送検=は調べに対し「ブレーキを踏んだが止まらなかった」と供述。一方で県警には「病院の数十メートル手前から加速した」「ブレーキランプは点灯していなかった」などの目撃情報が寄せられている。
事故当時の精神状態を調べるため、福岡地検は17日から松岡容疑者を鑑定留置している。(井上怜)