【シリコンバレー=兼松雄一郎】米ツイッターが中国進出に向けて香港に事務所を開設した。同社は中国政府により本土での利用が禁じられている。海外での露出を増やしたい中国企業から広告の受注を増やし、長期的に中国本土進出への足がかりとする狙いだ。
中国政府はツイッターや米フェイスブックなど多くの米ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)へのアクセスを遮断している。ツイッターのディック・コストロ最高経営責任者(CEO)は検閲への協力など政治的な妥協は拒みつつも、巨大市場の中国への進出に意欲をみせる。
中国本土では、中国版のツイッターと呼ばれる新浪(シーナ)の「微博(ウェイボ)」など、現地のサービスが圧倒的なシェアを持つ。一方で、検閲の対象外の香港でフェイスブックやツイッターを使う中国人が一定数いる。本土でも、民間企業が持つ回線などを通じて海外サーバー経由でネットに接続する手法でツイッターはひそかに使われている。
中国政府はこうした抜け道への規制を強めつつある。昨年は香港で民主派デモが盛り上がると検閲が厳しくなった。フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOは中国進出に悲観的な見方を明らかにしている。
ツイッターはまず香港で取引の実績をつくり、本土進出への交渉材料とする構え。中国企業は急速に国外に進出しつつあり、世界中に利用者を持つツイッターを広告の出し先として使う可能性が高いとみている。