本州以南に飛来する絶滅危惧種の鳥サンショウクイが、温暖化など気候変動の影響で分布を拡大しているとの調査結果を、環境省が12日までにまとめた。九州南部から南西諸島に生息するリュウキュウサンショウクイも九州北部や四国まで北上、外来のソウシチョウも生息域を拡大しており、環境省は「どのような影響があるのか、引き続き調べたい」としている。
環境省は、地球温暖化や外来種による影響など生態系の変化を把握する目的で、2003~12年度にかけて全国約千地点を継続調査した。
その結果、05~07年度にリュウキュウサンショウクイを確認したのは九州南部や沖縄県など6地点だったのに対し、08~12年度には約5倍の29地点に増加。生息域外と考えられていた福岡、高知両県でも確認された。
夏に本州以南に飛来し、東南アジアで越冬するサンショウクイも、05~07年度は59地点だったが、08~12年度には98地点で観察された。
ソウシチョウは中国や東南アジアが原産だが、関東、近畿、九州の一部から徐々に分布を広げ、関東以南でも広く確認されるようになった。
環境省によると、ソウシチョウは鳴き声が美しく観賞用に人気があったが、声が大きく騒音として問題になったことなどから人気が落ちた。飼い主が逃したり、在庫に困った業者が投棄したりしたものが野外に定着したとみられる。
ウグイスと同じような場所で繁殖するため、ソウシチョウが増えるとウグイスの繁殖成功率が下がることで知られる。同省は輸入や飼育が原則禁止となる特定外来生物に指定している。〔共同〕