北九州市営バスの嘱託運転手が乗務の合間に待機する時間について、労働時間に当たるかどうかが争われた訴訟の判決で、福岡地裁(山口浩司裁判長)は20日、「労働から解放されておらず、使用者の監督下に置かれていた」として労働時間と認定した。市に対して、運転手ら14人に未払い賃金の計約1240万円を支払うよう命じた。
市側は訴訟で「待機中は自由に過ごせるため、休憩時間に当たる」と主張したが、山口裁判長は「バスの移動や乗客対応をする必要があった」と認定。労働基準法が労働時間に当たると定める「労働者が使用者の監督下に置かれた状態」と判断した。支払額は2010~11年の待機時間に応じて、1人当たり36万~121万円とした。
判決などによると、運転手は1路線の終点に到着後、別の路線を運行するまで待機する。嘱託運転手の給与は時間制で待機中は賃金が支払われず、1時間当たり140円の「待機加算」が支給されている。
原告の1人、山北洋二さん(65)は判決後に開いた記者会見で「長時間労働を強いられる運転手は多い。これを機に労働環境を改善してほしい」と市に求めた。市交通局の担当者は「主張が認められず、厳しい判決。判決内容を検討し、対応を決定したい」とコメントした。