政府は21日、原子力発電所事故の被災者への賠償ルールを定めた「原子力損害賠償法」の見直しを検討する有識者会合を開いた。電力会社の賠償責任が免除される規定の明確化や、事故による賠償を補償する保険制度の上限引き上げなどが検討対象となる。
同日の初会合では、経済界出身の委員などから「(過失の有無にかかわらず)電力会社に無限責任を負わせる仕組みを見直すべきだ」との意見が出た。自由化で電力会社の収益が厳しくなる中、新たな賠償のあり方を求める意見もあった。
米国では事業者の賠償上限額は約126億ドル(1兆5100億円)で、それ以上は国が助ける仕組みを採用している。政府はこうした欧米の事例も参考に、検討を進めていく方針だ。
東京電力の福島第1原発事故の際は「異常に巨大な天災地変」が起きたときの免責の適用が争点となったが、結局見送られた。将来同じような事故が起きた際の扱いや、事故後に設立された原子力損害賠償・廃炉等支援機構の制度の再検討も有識者会合のテーマとなる。