日銀は19日の金融政策決定会合で、年80兆円のペースで金融市場に資金を供給する今の金融緩和の継続を決めた。従来は年14回開いている決定会合を米欧中央銀行並みの同8回に減らす一方、年2回発表していた経済・物価情勢の展望(展望リポート)を年4回に増やすことも決めた。日銀法に基づく関係政令を改正し、2016年1月から実施する。
金融政策決定会合に出席するため日銀本店に入る黒田総裁(19日午前)=共同
決定会合では景気の基調判断を「緩やかな回復を続けている」に据え置いた。金融緩和の継続には黒田東彦総裁ら8人が賛成し、木内登英審議委員が反対した。木内氏は「年45兆円の資金供給が望ましい」との提案を行ったが、否決された。
決定会合の運営見直しについて、日銀は「金融政策を巡る審議や情報発信をさらに充実する」のが狙いとしている。会合の開催が減ることで黒田総裁の記者会見など情報発信の頻度は少なくなるが、米連邦準備理事会(FRB)と欧州中央銀行(ECB)も政策会合は年8回で、イングランド銀行(英中央銀行)も年8回に減らす方針を明らかにしている。
経済・金融情勢が大きく変わらない中、頻繁に会合を開いて市場を混乱させることなどを避けるのが狙いのようだ。ただ経済情勢が大きく変動する局面ではきめ細かな政策対応や情報発信が損なわれる可能性もある。
展望リポートはこれまで4月と10月に発表し、その合間の1月と7月には「中間評価」を行い、進捗を点検していた。今後は1月、4月、7月、10月の年4回発表する。
展望リポで公表する情報も拡充する。従来は政策を決める総裁、副総裁、審議委員の9人が実質国内総生産(GDP)や消費者物価指数(CPI)上昇率を予測した上で、その中央値を日銀の見通しとして示してきた。今後は実質GDPやCPIの中央値だけでなく、委員それぞれの予測やリスクへの評価も示す。
さらに決定会合が終わってから1週間をめどに会合で出た「主な意見」を公表する。今は約1カ月後に議事要旨が出ているが、より速やかに会合での議論を公表する。
黒田総裁は19日午後に記者会見し、金融政策や、決定会合の運営見直しについて説明する。