群馬大病院で腹腔(ふくくう)鏡を使った肝臓切除手術を受けた患者8人が死亡した問題で、8人を執刀した医師(3月末で退職)と元上司の診療科長が連名で「診療の目標である救命ができず大変申し訳なく思う」などとする謝罪文を、病院が公表した最終報告書への反論文とともに遺族に送っていたことが20日、被害対策弁護団への取材で分かった。
執刀医らが遺族に謝罪したのは初めて。少なくとも弁護団が依頼を受けている2人の患者の遺族らに送られた。
謝罪文などは今月17日に発送されていた。謝罪文はA4用紙1枚。2人の名前も含めて全てワープロ打ちで、本人の印鑑もなかった。一部の遺族や弁護団が求めていた面会による説明は「諸般の理由で差し控えさせていただく」と応じない姿勢を示し、その代わりとして病院が3月に公表した最終報告書に対する反論文が同封されていた。
反論文は「事故調査報告書への反論」と題した13ページと、患者別の報告書に対する反論で構成。
カルテへの記載が十分ではなかったことは認めて「反省すべき」としたが、インフォームドコンセントについては「図表を用いて1時間以上かけて説明し、最後には不明な点がないか必ず確認するようにしていた」などと書かれていた。
謝罪文を受け取った80代の男性患者の遺族は、弁護団を通じて「直接の説明を求めていたので納得できない。病院と執刀医のどちらの言っていることが本当なのか、(遺族を含め)3者で話し合わないと解明できないと思う」とコメントし、引き続き面会を求めていく考えを示した。〔共同〕