宅配便最大手ヤマト運輸の横浜市内の支店が、男性ドライバー1人に違法な長時間労働をさせたとして、昨年12月に横浜北労働基準監督署(横浜市)から労働基準法違反で是正勧告を受けていたことがわかった。この支店は昨年8月にも、ドライバー2人に残業代の一部を払わず、休憩時間を適切に取らせていなかったとして、同法違反で是正勧告を受けていた。
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ヤマトは未払い残業代の大規模調査を始めるなど労働環境の改善に乗り出しているが、相次ぐ是正勧告がそのきっかけになった可能性がある。
ヤマトによると、昨年12月8日に神奈川平川町支店が是正勧告を受けた。労使協定で定める時間外労働の上限を超えて、違法にドライバーを働かせていたという。
ヤマトは2007年に大阪市の拠点でドライバーの残業代の未払いを指摘されるなど、これまでも複数の拠点で労基署から是正勧告を受けている。配達方法の見直しなどでドライバーの負担軽減に取り組んできたが、「物量の伸びが想定を超え、対応しきれなくなった」(幹部)と説明している。
ヤマトはグループの社員約7・6万人を対象に未払い残業代の調査を始めたほか、時間帯指定の配達などドライバーの負担が重いサービスの見直しや縮小、運賃の全面的な値上げといった労働環境の改善策を検討している。