宇宙航空研究開発機構(JAXA)が、探査機「はやぶさ」が小惑星イトカワから持ち帰った微粒子などの「地球外物質」を専門に研究する新組織を立ち上げることが29日までに分かった。JAXA宇宙科学研究所(相模原市)内に7月1日付で設置する。
小惑星には太陽系が誕生したころの物質や、地球の生命の起源に関わる情報が残っていると考えられている。JAXAは太陽系の成り立ちに迫るため、日本が得意とするサンプルリターン(試料回収)の分野を重点的に発展させる体制を整える。
査機「はやぶさ」が小惑星イトカワから持ち帰った微粒子=JAXA提供
研究対象はイトカワの微粒子のほか、飛行中の「はやぶさ2」が向かう小惑星「1999JU3」の岩石と、火星の衛星フォボスかダイモスから採取する計画の砂や氷。米航空宇宙局(NASA)が来年打ち上げる探査機「オシリス・レックス」が小惑星から持ち帰る試料も入手して分析する予定だ。
新組織は「地球外物質研究グループ」。研究者ら10人前後が所属、代表者は公募する。特殊な試料を扱う経験が豊富な海洋研究開発機構や国立極地研究所とも協力、ノウハウを提供してもらう。
宇宙科学研究所の稲谷芳文副所長は「世界中の研究者から研究テーマを募集し、試料を渡して結果を集約するハブ機能を担いたい」と意気込んでいる。〔共同〕