教科に格上げされる小中学校の「特別の教科 道徳」について、文部科学省は4日までに、教科書作成や指導の指針となる学習指導要領解説を公表した。小中を通じて学ぶ「国や郷土を愛する態度」の項目で「国」の定義を明記したほか、いじめをなくすための指導法などを記した。
解説では、国の定義について「政府や内閣などの統治機構を意味するものではなく、歴史的・文化的な共同体」とした。そのうえで「偏狭で排他的な自国賛美ではない」と、指導する上での留意点を盛り込んだ。
教科化のきっかけとなったいじめについては「自分よりも弱い存在があることで優越感を抱きたいといった人間の弱さが起因している場合が少なくない」と分析。
小学校高学年や中学生になるといじめを傍観する児童・生徒がいることも踏まえ、「自分自身の問題でもあるという意識を持たせること」「周囲の雰囲気や人間関係に流されない態度を育てること」が大切だとした。
道徳を教科に格上げする新学習指導要領は小学校が2018年度、中学校が19年度から実施される。各出版社は解説と、今夏に示される予定の検定基準に基づき教科書を作成する。児童・生徒の評価方法については、同省の専門家会議が年内に結論を出す見通し。